昨年末のお話。
とある上場企業の役員を退き、地域再生の農業ビジネスに関わる方にインタビューをする機会がありました。
御歳72歳。私の父親と同い年です。
その方とは、千葉のある異業種交流会で出会いました。経験豊富で視座が高く、視点が鋭いのにとても丁寧で謙虚な方でした。是非またお逢いしたい旨を告げて別れ、後日こちらからご連絡したところ、再会を快諾して頂きました。
お聴きしたかったのは、先駆者の目から見た日本が
- どのように変化し
- 何を失い
- 何が求められる時代なのか
現役時代に日本経済の高度成長を経験された方のご意見を授業に活かしたい想いからでした。
当時の高度経済成長をどのように捉えていますか?
当時、日本のサラリーマンは何も考えずがむしゃらに働いていました。働けば給料が増えてポストも上がる。だからもっと働いた。この時代がずっと続くものと思い込んでいましたね。
そんな私たちの世代が、高度経済成長に流されてしまった。その罪は重い。だから私は経験を活かして、地域を再生させたいと思っています。
物質的には便利な世の中になりましたが、失われたものも大きいと思います。
その失われたものとは何でしょうか?
失われたのは「心」です。それも急速に。
日本人の心とは一言でいえば「お爺ちゃん、お婆ちゃん」のような心です。自然を愛し、利より徳を重んじる気持ちです。
また一次産業の衰退から「体」の健康も低下しているように思います。
一次産業の衰退が、なぜ現代の不健康と関係あるのでしょうか?
自然は繋がっているということです。
自然が減り、里山が荒れると水が汚れる。水が汚れると野菜・草花が汚れる。微生物がいなくなり魚が減る。もっと水が汚くなり川や海が汚れていく
すると、汚れや不純物を取り除くようになり、ピュアな物を食べるようになる。不純物が混ざらない食べ物を食べ続けると、免疫が失われて体がどんどん弱くなる
弱った体を補おうと化合物を入れる。一時的には復活したように感じても長期的には体は弱ってゆく
みんな繋がっているんですよ。
例えるなら塩。
市販の塩はNaCl=97%以上の基準がある。つまり不純物は3%未満にせよ。ということだが、不純物がなさすぎても人間を弱くしてしまう。
金の話を思い出した。
純金(24金)に適度な不純物を混ぜて18金にすると、適度な固さで使いやすくなる。純金のままでは柔らかすぎて実用的でないというのも、本質は一緒です。
最後に、これからの時代が求めるものは、何でしょうか?
「豊かさや潤い」だと思います。
物はいきわたりました。これからは豊かさ・潤いが求められる時代になります。サービスでも、サービスの質が求められる本物だけが残っていくと思います。
そして一次産業を使って地域の課題を解決すること。
農業/林業/水産業などの一次産業を通じて、地域の課題(少子化・地域の空洞化・活力低下)を交通整理する。機能的な都市生活もいいが、自然体験が子供たちを豊かに育み、地域も元気になる。いろいろアイディアがありますので、少しずつ形にしていきたいですね。
貴重な機会をありがとうございました。年末に元気を頂き感謝であります。