仕事で「根回しがニガテ」と、いう方がいます。
根回しは、ガーデニングでもビジネスでもインパクトを和らげ・物事を上手く運ぶために使いますが「いつ・誰に・何を」すればいいのでしょうか。
根回しも広い意味ではコミュニケーションですので、やり方に正解はありません。考え方としてはこれから起こることに対して①関係者へ気を配り、②理解者(関係者の目)を増やすことで仕事がスムーズに進むようになります。
システム導入でよくある例が「新しいシステムを導入したが社内に定着しない」という経営者の話。
これは上層部や管理職が、システムの利用者である部署や現場のニーズを把握せず導入を決めてしまい、トップダウンで定着させようとしている場合によく起こります。
人は根回しなく「急に・一方的に」押し込まれると心理的に納得できず、不満を抱えて消極的に運用することになります。すると「協力しよう・もっと良くしよう」といった発想の芽を摘んでしまうのです。
結果としてシステム化した恩恵を受けられず、費用対効果の低い運用になっていきます。
組織やチームなど全体への影響が大きいものほど、根回しを行っていないと空中分解しかねません。
- 「そんな話聞いてない」
- 「もっと早く知らせて欲しかった」
- 「どうぞご自由に」
こうした反論が出てくると、関係者からの協力が得られず物事が進みづらくなります。
で、どうするか。
これから起こることを少しずつ早めに伝えておくことがポイント。具体的には関係者(影響する部署)とのコミュニケーションで「小さなYes」を積み重ねていくことです。
例えばあるユーザ部門の責任者に、数ヵ月後のシステム変更を根回しするケース
- 3ヶ月前
「少し先の話ですが、**システムの変更を3ヶ月後に予定しています。またお声がけしますね。」 - 2ヶ月前
「先月お話した**システムの件ですが、改善要望やご意見を伺う場を設けたいと思います。もし来週か再来週だとしたら、ご都合はいかがでしょうか?」 - 1ヶ月前
「前回のヒアリングを踏まえて、課題の部分は新システムでは@@@のように改善が見込めます。」 - オープン直前
「ご協力ありがとうございました。*日後にオープン案内が届きますので使用感をご確認ください。不明点は+++で受け付けますね」
といったように、段階的に相手からYesを取ることで協力関係が格段に得られやすくなります。その一方で
関係者が多い場合は根回ししきれない。メールやマニュアルを用意して配布すれば手間もないのでは?
という意見もあります。
一斉連絡やマニュアルにすれば共有ができて便利ですが、人間関係を最初から効率化してしまうと相手は動いてくれません。
根回しの威力は、相手の感情が
- 気に掛けてくれている
- こちらの事情・都合も考えてくれている
こうした気持ちになるからこそ協力関係が作られる。
だから仕事上手は、根回し上手なのです。