仕事は上司(先輩)から盗みなさい。

現場教育でありがちな言葉です。特にITエンジニアのような専門職では。これは先輩が新人に教えられる量には限度があるため、新人の基本スタンスとして「とにかく先輩の型(目に見える部分)をマネしなさい」という教え。

最近、ある会社の人材育成部門の責任者A氏と「新人育成」の話になり、興味深い会話だったので記録しておきたい。A氏は限部門に配属されて間もない。

川「新人を戦力化するまでに、御社はどんなことされてます?」

A 「前例にならい、OJTで現場で先輩と一緒に仕事を覚えてもらいます」

川「成果はいかがでした?」

A 「新人が辞めました。原因は人間関係だったようです。先輩社員は職人気質な人で自分には合わないと言ってましたね」

川「先輩社員の言い分は?」

A 「ゆとり世代はダメだ、と言ってましたね」

川「善後策はありそうですか?」

A 「私の前任者にも聞いてみたら、同じような経緯で新人が辞めているケースがいくかあることがわかりまして」

川「興味深いですね」

A氏の考察をまとめると、先輩を真似て仕事を覚えていくには前提がある。ということだった。逆にこれらを踏まえずバカの一つ憶えで上司や先輩を真似ても成長のスピードは遅いとA氏は言う。

昔の成功体験に固執すると、新人は成長しない

10年ひと昔という言葉もあるが、例えば年齢が10歳違う社員同士では、社会環境・教育環境は時代が違うと思った方がいい。当たり前の価値観が違う人同士が、同じ目標を目指すことは容易でない。

そうした中で、先輩社員が自分が新人時代に受けた教育や、過去の新人を育てた方法をそのまま使うのはリスク。トレーナーが成功体験に固執しないために、あらかじめトレーナーを教育していく仕組みが新人育成の前提としているようだ。

俗人性が高すぎると、新人は成長しない

先輩も仕事をしながら教育するので、業務の繁閑や感情の浮き沈みは当然ある。その余波をチームや組織で吸収できないと、余波は新人へダイレクトに影響してしまう。新入社員は社歴が浅い分、社内の雰囲気に対して感度が高いとみたほうが良く、トレーナーだけでなく組織で育てていく雰囲気や仕組みを求めているようだ。

教育関係者には、トレーナーの上司はもちろんのこと、上司の上司・オブザーバー・外部講師など広く連携していくことが、人に依存しない新人教育に繋がるという。

変化の手応えがないと、新人は成長しない

新人のやる気は、仕事への手応えが一番わかりやすい。例えば自己成長(できなかったことが、できるようになったとか)や周囲の変化(先輩や上司に認められた)などだ。

変化の可視化は職種によって千差万別。例えば営業職なら業績=能力のように、契約数が組織でトップの人は、その組織の中で営業スキルが最も高いと判断でき、達成率が変化すれば成長への手応えも感じられよう。

しかしITエンジニアのような専門職は、チームプレーなので成果物で能力が測り辛く、能力の変化もセルフチェックし辛い職種である。建築・コンサルタント・カウンセラーなども能力が比較し辛く、組織でも人事考課などは悩みの種である。

まとめ

過去の体験にこだわらず

客観的に解かりやすい仕組みで

変化を見える化してはいかがだろう。