一本の電話が鳴った。

 

ある高校のA先生からで講演のオファーだった。

A先生とは一度だけお会いし名刺交換をした程度だが

特徴のある声だったのですぐ思い出した。

 

依頼のきっかけは共通の恩人の先生。

「川島さんの授業は面白いよ」と

A先生へお話していたようだった。

 

「生徒のハートに火をつけてほしいです」

「なぜそう思われたのですか?」

 

子供たちの心境は

将来は可能性で溢れていると聞くけれど

周囲の大人を見ると仕事で毎日大変そう。

 

仕事は自己成長できると聞くけれど

景気も不安定で会社も生き残りに必死そう。

 

一生懸命やれば無駄なことはないと聞くけれど

自分が好きなことや得意なことがわからない。

 

そんなことを考えていると思っています。

 

胸が痛んだ。

生徒の将来は一人ひとり違う。

進路は数学の授業みたい答えは一つではない。

考え方次第で正解にも間違いにもなる。

 

学歴社会の時代には

いい学校に進学すれば、いい会社に就職できた。

いい会社に就職できれば、定年後も安泰だった。

 

しかし今は違う。

こうしておけば将来も大丈夫という準備が

存在しない。だから進路指導が難しい。

 

学校の指導や家庭でのサポートもありつつ

何より生徒が自分の将来に可能性を感じて

好きなことや得意なことを探し・磨きながら

毎日を一生懸命過ごす。

これからの時代は自分の人生を

自分で切り開いていくことが大切だということを

生徒に伝えたい。

 

A先生は仰っていた。

私も同意だった。

 

私たちを繋いでくださった

恩人はもうこの世に居ない。

 

以前恩人の方とお仕事をしたとき

精いっぱい関わらせていただいたつもりだが

私的の感想は全然ダメダメだった。

だがもし中途半端に手を抜いていたら

今回のご縁はなかったと思う。

 

一つ一つに全力でぶつかるから

人生が少しずつ望む方向に向かっていく。

すぐに結果が返ってこなくても

こうして時間をおいて返ってくることもあるのだ。

だからすぐ結果が出ないからといって諦めず

やれることをコツコツ積み上げていけばいい。

 

恩人が天国から教えてくれたような気がした。