台風20号が四国に接近・上陸間近となった8月22日夜、高知駅から徳島駅までタクシーで移動しました。
理由は、当社が運営する営業スクール(オーシャンズ・アカデミー)が翌23日に徳島で開催予定でしたが、台風の影響でJR特急・普通列車・高速バスがすべて運休したためです。
高知市内で一泊して台風通過を待つ手もありましたが、翌朝の運行は保証されておらず、登壇を確実にするためには前日のうちに移動しておく必要がありました。
そんな状況を察したのか?!高知駅であるタクシードライバーの方が声をかけてくださいました。
「おーーい!アンタどこまで行くの??」
「徳島までです」
「???(二度見)」
「徳島駅まで行きたいです」
「そりゃぁ大変だ。遠距離イケル知り合い呼ぶから、ちょっと待ってな!」
「ありがとうございます!」
高知駅で15分ほど待つと、別のベテランドライバー(仮称:Aさん)が横づけし、荷物を手際よく運んでくれました。
「話は聞いてるよ。まだ上(高速道路)は通れるから約2時間半、下(一般道)だと+1.5~2時間くらいはかかるな。どうする?」
「上(安全優先)でお願いします。」
「OK。じゃぁ行きましょうか」
昔は長距離トラックで全国を駆け回り、時には奥さんを助手席に乗せながら仕事をしていたというAさん。浅黒い顔には健康的なしわが深く刻まれた、とても穏やかで深みのある方です。
今夏の高校野球、高知・徳島の今昔物語、お互い生い立ち・経歴・今の仕事を始めたきっかけ、西日本災害、四国の県民性、美味しいお店のご紹介、、、
私からの質問をしっかりと受け取ってくれ、飽きさせないトークの中に、細やかな気配りも忘れない。
「何だかすみません。私ばっかり喋らせてもらって」
「トイレ休憩いつでもお声がけくださいね」
「お疲れでしょうから、どうぞ私に構わず休んでください」
ドライバー一筋。仕事に誇りを持ってハンドルを握っておられました。台風の渦中での長距離移動で不安もありましたが、とても居心地のいい時間でした。
転職してから都内でタクシーを使うことも増えましたが、目的地がわからずナビ頼りというドライバーさんもよく見かけます。その道のプロとして、 何を磨いて世の中に貢献していくか。改めて考えるきっかけを頂きました。
もし私が、これから高知でタクシー移動に困ったときは、Aさんが一番先に候補に上がると思います。必ず利用するかは状況にもよりますが、他のドライバーより一歩抜きに出たのは間違いなくAさんの人間力。
その他大勢とは違う個性が、同じ価格・条件だったらAさんにお願いしたい。いや、多少高くてもAさんならお願いしたい。そう思えるような方でした。
南国の四国で、粋にあふれる素晴らしい出逢いでした。
ありがとうございました。