駅伝の襷(たすき)は
レースが進むほど重くなっていく。
それは汗と一緒に
ランナーの気持ちも襷に宿るから。
選手一人ひとりが
「苦しいけど次が待ってる。だからあと少し」
こうした気持ちが
あと1キロ
あと100メートル
あと一歩の力をくれる。
一人では投げ出してしまうような
暑さや距離だとしても
襷を受け取り走り出すと
いつもよりハイペースを刻んでいる。
駅伝にはそんな魔物が棲んでいる。
無意識にリミッターが外れて
体と気持ちが一つになって走る。
一生懸命走っている背中に向かって
一生懸命応援する。
その応援を力に変えてまた走る。
だからドラマが生まれる。
そんな今回の茂原駅伝MVPはこの二人。
一人が気力を振り絞ってアンカーを走り出し
もう一人がラスト直線が見えるところまで
迎えに行った。
暑くて、辛くて、投げ出したくなるような気持ちで
走ってきた矢先の出迎えに涙した。
3キロ(1周)でも精一杯だったのに
6キロ(2周)なんて走れるかわからない。
不安な気持ちで一杯だったのに
彼女は走りだしてくれた。
その気持ちをみんな感じとって
最後は一緒にゴールした。
普段仕事をしていると
全力を出し切るってなかなか無い。
どこかでセーブしたり間違いないよう
失敗しないようにリスク回避をする。
駅伝には「普段の常識」という名の
リミッターを外す力がある。
だから駅伝が好きだ。
仕事も年齢も男女も関係ない。
バカみたいに笑って、苦しんで、讃えあえる。
相手のことを本気で考えて真剣な話ができる。
そんなかけがえのない仲間と繋がれた駅伝には
本当に感謝している。
そしてこれからも走り続ける。
一度きりの人生をもっと楽しいものにするために。