ある保護者(母親)の方との話。お子さんは中学1年生。
「中学生になって全然言うことを聞かないんです」
「と、言いますと?」
「小学生までは聞きわけのいい子だったんです。でも中学に入って変わってしまって、、、」
「それは心配ですね」
「宿題を全然やらなくなって、困っています」
「具体的に伺ってもいいですか?」
「何度も言い聞かせるんですが、何だか心ここにあらずといった感じで」
「なるほど、無理もないですよ。ちなみにお子さんは今どんなことに興味があるんでしょうね」
「さぁ、、最近あまり話をしないのでよくわかりません。どうしたら親の言うことを聞くのでしょうか」
「一つご提案があります。」
最近「宿題は学力向上に効果無し」という趣旨の記事がネットで盛り上がっていたが、かといって宿題を放棄するのは拙速だ。
そもそも宿題は学びを補う手段であって目的ではない。 要は必要性を感じられるかどうか。
しかし宿題と聞くと「仕方なくやるもの・大人(先生や親)から一方的に課せられるもの」といったイメージが刷り込まれている子供は多い。
「宿題は本人の意思に任せてみてはどうでしょうか」
「そんなことしたら全然やりませんよ、多分」
「変わりに親御さんは、お子さんの話を全身で聴いてあげてください」
「全身で、、、聴くんですか?」
「はい。言葉だけでなく雰囲気や呼吸までを感じとるくらいに」
「そうすると宿題をするんでしょうか」
「保証はありませんが、続けるとお子さんの言動に変化はあるはずです」
「試してみます」
「最初はずっと聴くだけで大丈夫です。意見やアドバイスはお子さんから求められた時だけ、答えてあげてください」
講演などの際に生徒にインタビューしてみると、勉強の必要性は感じているが大人から「やりなさい!」と言われると「やらされ感がするからやらない」という話をよく聞きます。
宿題をやらせることにピントを絞り過ぎず、子供が何に興味関心があって、その中で宿題(勉強)がどんな位置づけなのかが見えてくると、お子さんとのコミュニケーションにも潤いが出てきます。
必要性は子供が自分で気づけるかどうか。大人から押し込まれても持続しにくいので、まず私達(大人)の方から正論を手放してみてはいかがでしょうか。
後日、親御さんからメールを頂いた。
川島さんへ
(略)
2週間ほど試してみたら**が(少しですが)勉強を始めました!
急にどうしたの?と聞いたら「別に。何となく。」と照れくさそうに話してました。あと**から話し掛けてくることが増えた気がします。
これからも子供の話をよく聞きたいと思います。ありがとうございました。