人を指導する時によくあるのが、指導に便乗して自分の意見や正論を押し込むこと。

例えば部下Aが勤務中にケアレスミスが多いのを、部下Bから上司Cに報告が上がったとします。

C:A、ミスが多いらしいな。

A:申し訳ありません。

C:仕事を何だと思ってるんだ?やる気あるのか?

A:あります

C:だったらミスは減るだろ。だから会議で気の抜けた発言するんだよ。

A:そんなことありません

C:しっかりしてくれよ。オレが社長に怒られるから。

A:、、、。

この上司Cは何一つ指導をしていません。

Aのミスに便乗して正論を押し込む。指導の主旨とは関係ない昔話を引用する。部下の成長より自分の愚痴と保身が丸出しです。

かなり極端な例ですが業種問わずこうした上司部下の関係は中途採用やキャリア支援の場面を通じてよく耳にします。

以下は当社で実際にあった話。

川:Aさん、最近ミスが多いって聞いたけど?
A:申し訳ありません。

川:どうしたの?キミらしくないね
A:どうしてですか?

川:いつも真面目で周りに気配りできるAさんが体調不良とか、別の問題を抱え込んでいないかなと思って。
A:実は、、、(本音)

川:なるほど、、そりゃ無理もないよ。
A:やっぱりプロとして意識が低いですよね。もっとしっかりしないとと思います。
川:その気持ちがあれば大丈夫だよ。それじゃぁこれから改善案を一緒に考えてみようようか。

人間なのでミスはつきものですが、部下も人間なので、人としての人格を否定してしまっては信頼関係は築けません。

部下を育てるために指導がありますし、時には強く指導せねばならない時もありますが、上司の愚痴・武勇伝・正論などは部下の心は開きません。なぜならこれらは話の主役が部下ではなく上司だからです。

部下を正しい方向へ導くには、まず足を止め、同じ方向に振り向かせる必要があります。相手の言い分や背景をたっぷり受け止め同調すると部下の歩みが一旦止まり、こちらを振り向かせることができる。

上司の話はそれからなんです。