原因は様々だが経験上最も多いのは、企業と応募者のコミュニケーションエラーによるもの。
ここでのコミュニケーションとは会話だけでなく、広い意味で「応募者と企業との情報交換」
例えば企業が求人広告で「事務職募集」と公示したのに
応募者が営業事務を含む営業職に配属されたら。例えば応募者が面接で「経理もできます」と言って
事務職に配属したら「聞いてない」とクレームが上がるとか。
お互い正しい事を言っているつもりでも相手には伝わっていなかったり、相手の都合のいい解釈をされたまま選考を終えると現実を見て「話が違う」となってしまう。
職種のミスマッチなら分かりやすいが、人間関係の解釈はもっと曖昧(あいまい)で。企業側が「ウチの社風はいいですよ。安心してください」といっても、求職者にとっての「いい」は全く違ったりする。
つまり採用側が抽象化した情報と、求職者の解釈に差が大きいほどミスマッチの火種が大きい。採用選考は求職者の人生と企業の経営に影響する。だから採用のミスマッチは双方にダメージが大きいしリカバリーには時間もお金も労力も掛る。
ではどうするか。
私は面接のとき、質問と質問の根拠もお伝えしている。
例えば
職務経歴で2社目を退職された背景と理由を教えて頂けますか?
なぜなら、異動直後なのでもしかしたら人間関係で問題を抱えられたのかと思ったからです。
普通は「企業側の意図が見透かされる」から質問の根拠は胸の内に秘めておくのがセオリーだが、質問された側からすれば相手の目的が分からなければ答えようがない。そして相手の意図が見えないと、相手は本音を語るより面接テクニックに走る傾向がある。※個人差あり
- なるべく前向きに終わらせようとか
- なるべく面接官を納得させようとかで
- なるべく上手に伝えようとか
すると背伸びした回答になったり、その人本来の性格が見えなくなる。だから企業の解釈も曖昧になってしまう。
その点を汲み取るのもコミュニケーションスキルだ。と言う面接官もいるが、採用面接は特殊な場であり多少なり緊張もする。火事場の馬鹿力を見るのもいいが、普段の仕事ぶりやその人本来の考え方や言動を引き出さなければ、現場でミスマッチを引き起こす。
大切なのは企業側も求職側も、選考の場を使ってより良い方向を目指せるかどうか。求職者が本音を話しやすいような場を、企業側が雰囲気・気配・言動などから作りだせるかどうか。
もちろん本人が虚偽を言う可能性もあるが、ここは仕事のリスクを回避できるように心理学の勉強や訓練などが欠かせないし、虚偽面接が最終的に自分が不利になることは求職者も知っている。
コミュニケーションに正解・王道はない。
だから企業が変に構えず、企業側から懐を開く姿勢がミスマッチを減らす最初の一歩だと思うのです。